写真はここにあります。
大窓をスキーで滑ることは、私にとって念願でした。今はインターネット時代で、私も山スキーの記録をいろいろの山スキーヤーのホームページを参考にしています。その中でも特に私は、金沢の早川さん・福井の山田さんのホームページを良く見て参考にしています。この大窓越えのコースを、早川さんは自分の山スキールートベスト10の内2位にランキングしていて、剣周辺の魅力が凝縮・総合力が必要なコースと紹介されています。また山田さんは、感謝・感激・感動の連続のコースであると紹介されています。
富山県外の人々が大窓越えにアタックし成功している。わたしの家の窓からも見える大窓は、地元の富山県人で山スキーをやる者として、どうしてもつぶしておきたかったコースでした。去年、天候に恵まれず小屋の主人に大反対され敗退、今年は去年のリベンジとして絶対成功させたいと思っていました。今年は一番心配していた天候は2日とも晴れで心配はいらない、しかし雪解けが早い為、徒渉・スノーブリッジが心配でした。
7:20 立山駅出発。室堂直通バスで行く事にした。片道2580円・スキー300円・リュック10K以上300円(私は12.5K)
8:20 室堂。ほんの一時間ほどなのに下界の陽気とはうって変わり、いまだに積雪は10Mぐらいである。
10:00 2300m 雷鳥沢。村田さん、尾田さんはシール登行、他はスキーをザックに付けて登る。剣御前を目指してスキーヤー・ボーダーの長い列ができた。
11:45 2750m 剣御前小屋。山岳警備隊に登山届けを出す。今シーズン大窓へ行くのはあなた達が初めてなので馬場島へ着いたら駐在員にコースの状況を知らせて欲しいと言われた。
13:00 2550m 剣沢小屋。小屋は除雪作業中で非常に忙しそうであった。小屋の宿泊者は、時間が早いためか私達以外まだ一組らしい、部屋にとりあえず荷物を置き、談話室で休む事にする。談話室には、たくさんの山関係のビデオがあり軽く宴会をしながらビデオ鑑賞した。登山教室のビデオがあり歩行技術偏が鈴木さんには、ばか受けであった。鈴木さん、平井君は、せっかく天気が良いので一本滑りに行く、わたしも滑りに行ったが、どうも足の状態があまりよくなかったので、明日に備えて引き返すことにした。5時半から夕食を食べて、8時過ぎに就寝。
6:50 2550m 剣沢小屋出発。小屋の主人が、大窓へ行く私達を呼び止めた。また反対されるのかと思ったら、大窓越えの注意点を細かく説明してくれた。去年とは違った。出発前にもう一度みんなで注意点を確認して今日の大窓越えを成功させようと、お互い気を引き締め出発した。早朝、日の当たっていない斜面はカリカリでクラストしていたが、雪質は良く滑りやすかった。正面に剣岳を見ながらスケールの大きい山岳スキーを堪能。剣沢雪渓は、幅も広く快適な斜面で、平蔵谷・長次郎谷・八ツ峰・真砂沢へ。
7:30 1700m 真砂沢。沢はすでに割れてしまっている。小屋の主人の忠告どおり右岸を滑る。近藤岩手前のスノーブリッジを一人ずつ慎重に渡る。
7:50 1600m 近藤岩(二股)。テント泊の6人のパーティーがいた。
9:10 1830m 小窓雪渓出合。
10:30 2050m 池の平小屋。池の平小屋の屋根の一部だけが雪から現われていた。振り返れば荒々しい八ツ峰・スキー場の斜面のように滑りやすそうな池の平山(2555m)・正面は急斜面の小黒部谷、実にすばらしい風景である。小黒部谷への最初の斜面は、転倒すると止まらない急斜面だが、雪質がよく滑りやすかった。後から思った事だが、この小黒部谷の斜面が一番気持ちよかった。
11:00 1550m 大窓出合。はるか遠くに大窓の稜線が見える。30分大休止してスキーをザックに付けアイゼンを装着して登る。村田さんはシール登行。
12:15 1800m これが最後の登りだと自分に言い聞かせて登る。
12:50 2000m 鈴木さんはピッケル・アイゼンだと、生き生きして早い。稜線まであともう少しで、雪庇がはっきり見えてきた。
13:40 2200m 大窓。雪庇は約2mでそれほど大きくは無かったので中央から突破することにした。しかし、下の部分が割れていて、これがくずれたら生命が無いと思い気持ちが悪かった。
14:00 2200m 大窓出発。大窓の鞍部は、風の通り道だけあって強く吹き非常に寒い。稜線からの富山平野・富山湾を見ながらダイナミックに滑走する事を期待していたが、残念ながらガスって視界が悪く、その希望はかなえる事ができなかった。滑走開始する前にみんなで大窓のコースを再確認する。大窓は間に子尾根があり、最初は斜面の右側を滑る、また落石の巣なので十分気をつけるように確認する。私が先頭で滑走開始直後、上部のほうから何か大声で誰かが叫んでいるのが聞こえたので、落石かと思い見上げると、スキーの板が降ってきた。とっさにその板の方へ滑りスライディングしながらその板を止めた。我ながらよく止めれたと思う。その板は村田さんのテレマークの板で、ビスごと外れてしまったため滑走不能となり担いで下らなければならなかった。
14:50 1480m ここまでくれば一安心。大窓の斜面を滑り終えて斜面を振り返り、良くこんな斜面を滑ったものだと全員で達成を喜び乾杯した。
15:25 出発。取水口まで滑っていけるかが不安であった。今年は、やはり雪解けが早く、下れば下るほど雪渓が割れてきて、沢の微妙なへつりとかスノーブリッジを通過した。もし落ちてしまうと濁流に飲み込まれてしまう。
16:40 1110m ついに完全に雪渓が切れてしまう。対岸につぼ足のトレースがあり徒渉したのであろう、私達も覚悟を決めて徒渉しようと思ったが、ちょうど夏道の高巻き道があることに気づき高巻くことにする。最初、スキーを担いで薮の中で高巻き道を探すのに苦労した。
17:30 976m 取水口。
18:00 760m 馬場島。
20:00 立山駅。
念願の大窓越えは、誰もけがをする事も無く無事成功しました。村田さんは、せっかくの大窓の滑りでアクシデントにあい残念だったと思います。帰りの車の中からもう一度振り返ると、大窓が圧倒的であった。よくぞ、あんなところを滑ってきたものである。大窓は天候とメンバーに恵まれないと達成できないところで、今回わたしのわがままにみなさん付き合っていただき本当にありがとうございます。改めてメンバーに感謝します。
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